今回プレイしたのはPULL TOPが2006年に発売した「遥かに仰ぎ麗しの」です。

こういったノベルゲーは複数ライターであることが多いですが、本作もその例に漏れず複数ライターです。健速と丸谷秀人という二人のライターが書いています。
しかし、本作の場合は結構特殊。
大体のノベルゲーは複数人でも雰囲気等を統一させるように書かれているのが普通です(時折破綻しているものもありますが……)。
ですが、本作では主人公が本校と分校のどちらの寮に入るかで完全に話が分岐し、以降の話が本校ルートと分校ルートで全く違ってきます。
実質二作品やっているような感じです。変わってますね。
丸谷秀人先生が分校ルート、健速先生が本校ルートを書かれています。
今回は本校ルートに絞って再プレイしてみました。
「遥かに仰ぎ麗しの」のレビュー・感想
あらすじ
大学を卒業して教員免許を取ったものの、
教鞭をとる就職先が決まっていなかった主人公、滝沢司(たきざわつかさ)に、
上流階級の息女―お嬢様のみが通うことで音に聞こえた、
『凰華女学院(おうかじょがくいん)』から誘いが来る。
一も二も無く、その誘いに飛びついた司だったが、
指定された学院の所在地は、案内状に書かれた
『自然に囲まれ風光明媚な』という言葉に偽りこそないものの、
周囲に民家の一軒すら見当たらない半島の果てだった。
日に数本しか通らないようなバス停で降り、
半信半疑のまま歩き続けること数十分。
突然視界が開け、何とも時代錯誤な西洋風の広大なお屋敷が姿を現す。
その建物に負けず劣らず、大袈裟な装飾を施された門の柱には、
そこが目指す場所であることを証明するかのように、
『凰華女学院 』の文字が刻まれていた。
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やがて知らされる、真実の数々。
― ―ここは学院の『分校 』として運営されていること。
― ―やんごとなき方々のお家事情などにより、
一般社会から隔離された少女たちのみが在籍していること。
何もかもが初耳な話ばかりだったが、全ては後の祭り。
こうして、世間から忘れ去られたような僻地に建つ女学院を舞台に、
一風変わったお嬢様たちのお相手を務める、
司の教師生活が幕を開けた。
各ヒロイン・シナリオ感想
今回は本校ルートのヒロインのみの感想です。
風祭 みやび√

最後の描写的にメインヒロインな人。
やっぱり北都南さんの幼い感じの声は可愛い。
見た目相応に性格も幼い感じなのに、理事長という重大な立場につき、様々な重圧に耐えながらも空回りする姿は痛々しさがありながらも、なんとか食らいつこうとする彼女の姿に見惚れてしまいましたね。
普段の強気な姿勢も背景を知ると愛おしくなってきますね。
途中からは強気な姿勢も鳴りを潜め、主人公に甘え始める姿は本当に可愛い。膝の上に乗るシーンなんかね。こういう日常がずっと続けばいいのにという感じがある。
ただ、待ち受けていた真実はあまりにも残酷です。
ですが、途中で主人公がヘタレながらも、前向きな感じで終わったのが主人公とみやびの成長が感じられて良かったですね。道中の細かな描写がその説得力を高めていると思います。
ですが、考えてみれば状況は特に解決していないんですよね……ですが、彼らならこの先どんな困難があっても乗り越えていけるんじゃないかと思いましたね。
リーダさんとのシーンは……ノベル版にあるらしいのでどっかで手に入れるか……
鷹月 殿子√

魅力的なキャラが多い本作で人気投票1位だったヒロイン。
ちょっと大人びた感じがあって、みやびが暴れるのを止めたり、梓の面倒を見たりしているんですが、主人公のことをお父さんとは……幼さが垣間見えて良かったですね。
父性をくすぐられたプレイヤーが多いのかもしれません(上目遣いな立ち絵好き)。
彼女が抱えている問題はやはり家のこと。何回か両親と衝突するシーンがあるんですが、まあ、相手方が結構アレです。
このルートも道中で主人公がちょっとヘタれますが、最終的には二人で手を取り合って未来へ歩んでいくのが涙を誘いますね。
話の流れなどみやびルートと被る部分があるんですが、やはりメタファー的な役割の戦闘機の存在が本ルートの根幹を担っているのが違うのかなと。
終わり方が爽やかでとてもよかったです。
で・す・が、確かにみやびルートとは違ってこのルートでは最後に問題は解決しているんですけど……あまりにも突飛すぎて笑ってしまいました((´∀`*))。
ご都合主義の塊みたいな展開ですが、許容できるかは人それぞれな気がします。
私は「本校ルートは結果よりも過程を重視している感じだな」と思っていたので受け入れましたが……流石にぶっ飛びすぎ。
八乙女 梓乃√

個人的にダークホースだったヒロイン。
ずっとおどおどしていて、殿子について離れない感じの女の子。一人称がわたくしとお嬢様ヒロインなんですが、小動物的な可愛さのあるヒロインでしたね。
他のヒロインが自分というより、周囲に問題があったのに対して、梓乃の場合は対人恐怖症という個人的な問題を抱えています。
視点変更が多く群像劇的に書かれている本校ルートですが、このルートは梓乃目線が多めなので、心情がわかりやすいのもいい。
学園特有のギミックを使いながら、殿子を取られたくないと先生である主人公を陥れようとするも何度も失敗していくうちに……という展開は思わずニヤニヤしてまいました。
他の二人と比べて問題のスケールが(個人的な問題に収まっているという点で)大きくない分、彼女の成長具合が鮮明なのもいいです。
段々と主人公に心を開いていき、堂々とした姿になっていく彼女の姿に惚れてしまいましたね。
終わり方もすっきりですし、面白かったですね~。
イラスト・音楽

イラストは全体的に幼い感じで、エロスよりも可愛さのある絵柄だと思いました。
どのヒロインもとてもキュートに描かれているので、CG鑑賞が楽しかったですね~。
音楽は印象に残るものはあまりなかったかな~。
まとめ
個人的には分校も含めて名作だと思う作品です。
キャラの可愛さもシナリオの良さも高水準だと思います。
因みに本校ルートの好きな順番は梓乃>殿子>みやびといった感じです。

プレイして後悔しない名作だと思います。
泣きゲーを求める人にも、キャラゲーを求めている人にも刺さるエロゲーだと思いますね。
ただ、やはり本校と分校ルートで主人公の感じやシナリオの方向性が全然違うのが気になる人はいるでしょうし、それによってヒロインが六人と増えてシナリオ量が多めなのも人を選びそうな感じはします。
そこだけがネックですかね。
ですが、それでも多くの人に薦めたい作品ですね。
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