Fanzaの『Game 遊び放題 プラス』にある「EXTRAVAGANZA ~蟲愛でる少女~」という作品をプレイしました。
Black cycの作品の多くが『Game 遊び放題 プラス』にあるので、遊び方によっては普通に買うよりも安く遊べるのがGood。
リョナは全く持って専門外というか性癖ではないのですが、エロゲを調べていると見かけることが多くて、前から興味があったのでプレイしてみました。
結論から言うと間違いなく傑作だと思います。
設定等は色物ですが、シナリオの根幹自体は結構王道で、熱く心をうつ作品でした。
「EXTRAVAGANZA ~蟲愛でる少女~」のレビュー・感想
あらすじ
薄汚れた床の上に、少女の子どもは産み落とされた――。
救いの手はなく、抗うだけの力も持たず、ただ道具として扱われる日々。
求められた苗床という役目は、少女から家族や友人、普通の生活、
そして処女といった様々なものを奪い、薄暗い部屋へと閉じ込めた。
眼前に在るのは、おぞましき異形の生物。
腐臭漂う粘りついた触手が、少女のきめ細やかな柔肌を這いずり回り、
ありとあらゆる孔に潜り込んでいった。終わりはどこにあるのか。
果てには何があるのか。膨らんだ腹の中で何かが蠢く苦痛に苛まれながら、
やがて少女は汚物とともに蟲を産む。
快楽と苦痛の終わりに、恐怖と狂気の果てに、自らの子供を胸に抱いて泣いた。「あたしと一緒に……来る……?」
唐突に得られた自由。
月の明るい夜に、少女は久しぶりに外に出た。
血まみれのシーツを身にまとい、裸足で冷たい大地の上に立つ。
行くべき場所などなかったが、少なくとも独りではない。
傍らでは一匹の蟲が、まるで母親に甘えるように少女の足に擦り寄っていた。そして――以降十五年に渡る、少女の物語の幕が上がる―――
音楽
音楽は意外と耳に残るようなダークなBGMが多くて良き。
若干音がチープではありますが、作品のダークな部分を補強するようなBGMが多くて良かったですね。
絵


絵はそこまで上手い感じはしないんですが、しっかりとグロテスクで耐性のない人は目を背けたくなるようなCGが満載です。
あと、女性キャラよりも男性キャラの方が印象に残ってますね……主にチベットと博士のせいですが。
シナリオ感想
チャート探索式AVGと銘打っているゲームですが、その名に恥じないレベルで分岐が多い。
プレイヤーの選択肢によって全く違う結末(それも殆どがろくでもない最後を迎える)になるのはとても面白く、本当に一人の少女の人生の可能性を垣間見ているような気分になります。
他のエロゲーにはない感じで面白かったんですが、その分滅茶苦茶難易度は高い。ヒントは散りばめられているんですが、攻略を見ないとクリアできなかったですね。
シナリオも複数に別れているので、それぞれのパートの感想を簡単に書いていきます。
幼蟲編
一番最初のシナリオで、煉悟という蟲使いの男の目線で進みます。
色々分岐するストーリーですが、主人公である夢美が捕まって酷い目にあう展開は絶対に変わらないのが可哀そう……

シナリオ自体はチュートリアル的な感じで、蟲使いや蟲についての説明がなされます。なので、展開自体は読みやすいんですが、最後の爽やかな感じはやはりいい。
蟲という嫌悪を感じる存在と共に歩む姿は、その光景にありそうにない温かさや美しさが含まれているように見えましたね。
あまりにも深すぎる絶望の中を必死に足掻く姿は胸をうたれるものがあります。
蛹蟲編
幼蟲編から何年後のシナリオ。
なんとか平穏な日常を取り戻した夢美だが……という感じ。普通のエロゲーでいう共通ルートみたいな感じなんですが、滅茶苦茶分岐します。ここでの選択で結末が大きく変わるので、結構緊張感がありますね。
色々と関わってくる揚羽や夢美にとって恋仲になる優斗と出会ったり出会わなかったりします。
あと、スタート地点が二つあって「なんでだろう?」と思っていたんですが、ここまで展開が変わるとは予想してなかった……
揚羽編
蛹蟲編で出てくる女の子揚羽に出会い、近づくとこのルートに入る感じ。
正直な所、この揚羽という少女はかなりうざいタイプの女です。表ではとても人懐っこい感じですが、実際は腹黒で夢美がこれまた酷い目に遭います。
最初は「どうしてこんなにも夢美を嫌うんだ?」と疑問に思っていたんですが、蓋を開けてみれば殆ど理不尽な恨み。挙句の果てにはただの勘違いだったというオチです。救いようがありません。
その分、復讐はかなり爽快な感じでよかったですね。最後の光景はこういった作品のジャンルらしく狂っていますが。
シーンはふたなりが多め。全然性癖ではないんですが、一生取れないものを無理矢理装着させられるというシチュエーションは他に転用できそう。
西館編
色々な意味で強烈な印象を残している西と関わることになるルート。
どうやったらこんなことを思いつくんだとなるほどの凄惨なシーンが目白押しで、そういった面での興味深さはあるシナリオです。
ただ、流石に夢美の性格が変わりすぎな感はあります。プレイしていて戸惑うことの多いルートではありましたね。
蟲使編
夢美が蟲使いとして生きるルート? あまり覚えていないですが、蟲使いとしてのトレーニングが主な内容。ここで他のルートに分岐することもあれば、ここで話が終わるルートもあって、個人的には蟲使いとして生きていくのを止めて、蟲くんを引き渡すエンドが好きでした。もう片方の殺される方のエンドも淡々として記憶に残りますが……
夢美編
本筋のルート。この辺りでやっとそれらしい戦闘シーンが出てくるんですが、これが意外にも熱い。展開が多く分岐し、優斗が死んでしまったり、夢美本人が死んでしまったりするので、どうやったら先へ進めるのか考えるのも面白かったです。マップも二つに別れていて広いしね。
OPに出てくるあの兵器は結構唐突なんですが、やっぱり少年心が擽られますね。自分の手で絶望を払っていくのは今までが辛かった分、カタルシスがありますね。
その中で個人的に一番好きなのは「森に溶ける」エンドですかね。なんともいえない儚さが胸を抉ります。結構印象に残っている人が多いんじゃなかろうか。

成蟲編
さらに何年か経ち、夢美と優斗が結婚することになるシナリオ。しかし、トレーニングの過程で引き取る形となった綾佳との関係性をどうするのか……と、普通ならなるところですが、この作品は最後まで簡単には幸せにはしてくれません。
まさかの幼蟲編での主人公だった煉悟が復活という展開なんですが、あまり盛り上がりはしなかったです。個人的には「えぇ、お前……?」と困惑の方が大きかったですね。噛ませ犬だし。
ただ、最後はその15年に決着をというに相応しい完膚なきままにぶっ潰すのは爽快ではあります。まあ、そうならない方のエンドは王道に酷いけどね……
十五年に渡る壮大なストーリーの締めくくりとしては二つのエンドどちらもこじんまりとしていますが、満足感は半端なかったですね。
あと、このルートだけで出てくる女性キャラはあまりいる意味がないような……?
まとめ
好き度90/100
結構内容が重たい割に、文章が淡々としているので読みやすくはありました。その分、描写に物足りなさを感じる部分はあるのですが、重厚なシナリオがそれを補完してくれている感じがします。
所々のリョナ要素に目をつぶって俯瞰的に見ると、シナリオ自体はかなり王道だと思います。
夢美という一人の少女の壮大な人生を最初から最後まで書ききってくれたのが本当に凄いです。シナリオも所々粗はあるものの、バラエティに富んでいて最後まで飽きずにできました……攻略を見ながらだからなのかもしれませんが。
個人的には名作でしたね。
人を選ぶ作品だとは思いますが、気になった方はプレイしてみてください……攻略を見ながらね。